高さ133mmで、虎徹2にどこまで迫れるか

小型ケースへ空冷CPUクーラーを入れるとき、冷却性能と同じくらい重要なのが全高です。120mmファンを備えた定番クラスは高さ150mmを超える製品が多く、ケース側の制限によって選べないことがあります。
Ocypus Gamma A40 BKは、高さを133mmに抑えたシングルタワー型。筆者環境では、約76WのCinebench連続負荷で虎徹 Mark IIとほぼ同じ平均温度になりました。一方、Apex LegendsではA40のほうが約3~4℃高く、100mmファンを高回転させて小型化を補う性格も見えています。
1. 結論ファースト|Ryzen 5クラスを小型ケースで冷やす有力候補
Gamma A40 BKは、全高133mmながら、Ryzen 5 5600Xの約76W連続負荷をサーマルスロットリングなしで処理しました。Cinebench 10分時の平均CPU温度は64.7℃で、虎徹2の65.0℃とほぼ同じです。
ただし、大型クーラーを全面的に上回るわけではありません。Apex LegendsではA40が平均3.5℃、最大3.4℃高く、最大回転数も2,261rpm。100mmファンの回転数で、21mm低いヒートシンクを補う設計です。
CPUクーラー高150mm級が入らないケースで、Ryzen 5やCore i5クラスを定格運用する構成です。150W超の連続負荷を低温・低回転で処理したい場合は、120mmファン搭載の大型クーラーを優先します。
2. 製品理解|高さ133mmの黒いシングルタワー
Gamma A40 BKは、100mm PWMファンを1基搭載した空冷CPUクーラーです。ヒートシンク、ヒートパイプ、ファン、トップカバーを黒で統一し、ARGB配線や表示用USB接続を必要としません。
全高133mmが最大の価値
公称寸法は105×93×133mm。虎徹 Mark IIの公称高さ154mmより21mm低く、サイドパネルまでの余裕が少ないケースで選びやすくなっています。ケースの対応高だけでなく、サイドパネル内側の突起や補強材も確認が必要です。
4本のダイレクトタッチヒートパイプ
直径6mmのヒートパイプ4本がCPUのヒートスプレッダへ直接触れる構造です。ベースプレートを介さず熱を受けるため構造を簡素化できますが、接触面の平滑性、グリス量、締め付け圧も結果へ影響します。
「TDP 200W」は統一された性能指標ではない
メーカーはTDP 200W対応としています。ただし、クーラーメーカー間で試験温度・室温・負荷・許容回転数が統一されている数字ではありません。CPUのPackage Power、電圧、負荷時間、ケース通気を併記して判断する必要があります。
3. 仕様|100mmファンは最大2,400rpm
下表はメーカー公称値です。筆者環境の実測値とは分けて記載します。
| 項目 | 公称仕様 |
|---|---|
| 型番 | Gamma-A40-BK1NNWN00X-GL |
| 対応TDP表記 | 200W |
| 対応ソケット | Intel LGA115X/1200/1700/1851、AMD AM4/AM5 |
| 本体寸法 | 105×93×133mm |
| 重量 | 385g |
| ヒートパイプ | 直径6mm×4本、ダイレクトタッチ |
| ファン | 100×100×25mm、油圧ベアリング、4ピンPWM |
| 回転数 | 600~2,400rpm ±10% |
| 最大風量/最大静圧 | 41CFM/2.2mmH2O |
| 公称ノイズ | 29.5dB(A)以下 |
| 保証 | 公式規定で2年。購入経路など条件あり |
4. 開封・同梱品・外観|コンパクトでも梱包は堅実




All-Black VersionはPC内部を黒でまとめやすく、配線も4ピンPWMケーブルが中心です。ARGBモデルやデジタル表示モデルと名称が似ているため、注文時はGamma A40 BKの型番を確認してください。
5. 取り付け|専用ブラケットで簡単、プラスドライバーが必要
筆者環境のAM4では、付属の専用ブラケットを使いました。工程は分かりやすく、難しい作業はありません。固定にはプラスドライバーが必要です。
- 電源を切り、電源ケーブルを外す。
- 既存クーラーを外して古いグリスを除去する。
- AM4用ブラケットとスペーサーを取り付ける。
- CPUへグリスを塗布し、接触面の保護フィルムを剥がす。
- クーラーを載せ、左右を交互に締めて圧力を均等にする。
- ファンケーブルをCPU_FAN2へ接続する。
- 起動後、UEFIとHWiNFO64で回転数・温度を確認する。


両クーラーで同じグリスを使用
虎徹2とGamma A40の両方に3KS「3K-812」を塗り直しました。パッケージ公称の熱伝導率は12.8W/(m・K)です。同じグリスを使い、グリス銘柄の違いが比較へ入りにくい条件にしています。
6. 検証環境|同一PC・Standard/Autoで比較
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 5600X |
| マザーボード | ASRock X470 Master SLI |
| GPU | AMD Radeon RX 6700 XT |
| 室温 | 約26℃ |
| CPUグリス | 3KS 3K-812を両クーラーに使用 |
| センサー | HWiNFO64 v8.52-6060 |
| 通常時ファン設定 | UEFI Standard/Auto、CPU_FAN2接続 |
| CPU負荷 | Cinebench 2026.1.3、CPU Multiple Threads、10分 |
| ゲーム | Apex Legends、30分 |
| 最大回転数 | CPU_FAN2のみ手動Full Speed |
室温は約26℃で、恒温室ではありません。取り付け圧、グリス量、ケース通気、バックグラウンド処理でも数値は動きます。今回は同じPCでクーラーのみ交換した1セッション比較であり、統計的な複数回平均ではありません。
7. 実測結果|約76Wでは虎徹2とほぼ同等
アイドル時|A40が低温だが、消費電力も約4W低い
| 項目 | 虎徹2 | Gamma A40 | 差 |
|---|---|---|---|
| CPU温度 平均 | 46.3℃ | 40.8℃ | -5.5℃ |
| CPU温度 最大 | 47.0℃ | 42.0℃ | -5.0℃ |
| Package Power 平均 | 39.194W | 35.207W | -3.987W |
| 平均クロック | 4,085.8MHz | 3,893.6MHz | -192.2MHz |
A40は5.5℃低温ですが、測定中のPackage Powerとクロックも低いため、温度差をそのままクーラー性能差とは判断できません。アイドルはWindowsの常駐処理による振れが大きく、負荷と電力がそろうCinebenchを重視します。


Cinebench 2026・10分|平均温度とΔT/Wは実質同等
| 項目 | 虎徹2 | Gamma A40 | 差 |
|---|---|---|---|
| CPU温度 平均 | 65.0℃ | 64.7℃ | -0.3℃ |
| CPU温度 最大 | 65.1℃ | 67.5℃ | +2.4℃ |
| Package Power 平均 | 75.851W | 75.342W | -0.509W |
| 平均クロック | 4,300.8MHz | 4,293.1MHz | -7.7MHz |
| Cinebenchスコア | 2,422pts | 2,507pts | +85pts/約3.5% |
| サーマルスロットリング | なし | なし | 同等 |
| 簡易熱解析 | 虎徹2 | Gamma A40 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| 平均ΔT(CPU-室温) | 39.0℃ | 38.7℃ | 0.3℃差 |
| ΔT÷Package Power | 約0.514℃/W | 約0.514℃/W | 丸めると同値 |
| Thermal Limit 平均 | 67.5% | 66.8% | 温度上限には余裕 |
| PPT Limit 平均 | 100% | 99.3% | クーラーではなくCPU側の電力枠が支配 |
室温26℃を差し引いた平均ΔTをPackage Powerで割ると、両方とも約0.514℃/Wです。簡易計算では、定常状態の熱処理能力はほぼ同じでした。PPT Limitが約100%でも、Thermal Limitは約67%でサーマルスロットリングはありません。CPUが設定された電力枠まで使ったのであり、冷却限界へ達した状態ではありません。
A40のスコアは約3.5%高いものの、平均クロックはほぼ同じです。1回のスコア差から「クーラー交換でCPUが3.5%高速化した」とは判断しません。


Apex Legends・30分|A40は平均・最大とも約3.5℃高い
| 項目 | 虎徹2 | Gamma A40 | 差 |
|---|---|---|---|
| CPU温度 平均 | 62.9℃ | 66.4℃ | +3.5℃ |
| CPU温度 最大 | 70.0℃ | 73.4℃ | +3.4℃ |
| Package Power 平均 | 65.765W | 68.219W | +2.454W |
| 平均ΔT | 36.9℃ | 40.4℃ | +3.5℃ |
| ΔT÷Package Power | 約0.561℃/W | 約0.592℃/W | A40が約5.5%高い |
| 平均クロック | 4,620.9MHz | 4,611.2MHz | -9.7MHz |
| サーマルスロットリング | なし | なし | 同等 |
ゲームは負荷が細かく変動し、A40側の平均Package Powerも約2.5W高いため完全な同負荷ではありません。それでも電力で補正したΔT/WはA40が約5.5%高く、Cinebenchより虎徹2との差が現れました。最大73.4℃でスロットリングはなく、Ryzen 5 5600Xの実用上は問題ありません。


ファン最大回転数|A40は約66%高回転
| 項目 | 虎徹2 | Gamma A40 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平均回転数 | 1,324rpm | 2,245rpm | +921rpm |
| 最大回転数 | 1,359rpm | 2,261rpm | +902rpm/約66.4% |
A40の実測最大2,261rpmは、公称2,400rpm±10%の範囲内です。100mmファンのため虎徹2の120mmファンより高回転ですが、筆者の聴感では差は使用中に気にならない程度でした。騒音計を使っていないため、dBAによる静音性の断定はしません。


8. 実証データ|100Wを超える連続負荷では余裕が減る
筆者環境の約76Wだけでは、高消費電力CPUでの限界は分かりません。CPU、Package Power、負荷、回転数が確認できる結果を条件別に整理しました。無印BKとARGB/Digital派生モデルは同一製品として断定せず、ケース分けしています。
| ケース | 条件 | 結果 | 判断 |
|---|---|---|---|
| ケース1 | Gamma A40 BK/Core i5-11400、ゲーム61~93W | 最大56~68℃、1,700~2,000rpm | ゲーム負荷には余裕 |
| ケース1 | 同環境、連続負荷126~129W | 最大96~100℃、最大約2,500rpm | 100W超では限界に近い |
| ケース2 | ARGB Digital/Core i5-14600KF、室温27℃、約155W | 最大84~85℃、約2,316rpm | 高回転で150W台を処理 |
| ケース2 | 同系統、約177W | 最大95℃、約2,312rpm | 低温で扱う余裕は小さい |
| ケース3 | ARGB Digital/Core i5-11400、ゲーム57~83W | 最大56~63℃、1,560~1,820rpm | 筆者環境と近い傾向 |
| ケース3 | 同環境、連続負荷116~119W | 最大93~98℃、2,370~2,380rpm | 110W超で温度と回転数が上昇 |
70~80W級では扱いやすい一方、100Wを大きく超える連続負荷では温度と回転数が急に厳しくなる傾向です。150W台を処理した例もありますが、80~90℃台と高回転を許容した条件です。
9. 実使用の判断|小型でも必要十分、音は気にならない程度
ゲームでは最大73.4℃で安定
Apex Legendsを30分プレイした範囲では平均66.4℃、最大73.4℃。サーマルスロットリングはなく、Ryzen 5 5600Xとの組み合わせでゲーム用途に不足はありません。
Standard/Autoなら常時最大回転ではない
通常の測定はStandard/Autoです。2,261rpmは手動Full Speedで確認した値で、常時この回転数になるわけではありません。UEFIでファンカーブを調整すれば、軽負荷時の回転をさらに抑えられます。
100mm交換ファンの選択肢は確認が必要
120mm角ファンより交換候補が少ないため、長期使用でファンを交換したい人は固定穴の位置とクリップ形状を確認してください。
10. 虎徹2との比較|価値は冷却差より21mm低いこと
| 比較項目 | Gamma A40 BK | 虎徹 Mark II | 判断 |
|---|---|---|---|
| 公称高さ | 133mm | 154mm | A40が21mm低い |
| ファン | 100mm | 120mm | 低回転・交換性は虎徹2 |
| ヒートパイプ | 6mm×4本、直触 | 6mm×4本 | 本数は同じ |
| Cinebench平均/最大 | 64.7/67.5℃ | 65.0/65.1℃ | 約76Wではほぼ同等 |
| Apex平均/最大 | 66.4/73.4℃ | 62.9/70.0℃ | 虎徹2が約3~4℃低い |
| 実測最大回転数 | 2,261rpm | 1,359rpm | A40は高回転で補う |
| 筆者の聴感 | 使用中に気にならない程度 | 騒音計での測定なし | |
ケースに虎徹2が入り、すでに所有しているなら、冷却性能だけを目的にA40へ交換する必要はありません。A40を選ぶ理由は、高さを21mm抑えながらRyzen 5 5600Xクラスを十分に冷やせることです。
11. 評価傾向|小ささと価格が強み、高負荷には注意
良い評価
- 高さ133mmで古いケースや小型ケースへ入れやすい
- 価格に対して外観と剛性感がよい
- Ryzen 5やCore i5クラスのゲーム用途で十分に冷える
- 専用ブラケットで取り付けやすい
注意点として挙がる内容
- 100mmファンは交換候補が少ない
- 高負荷で2,000rpmを超えると風切り音が増える
- 100W超の連続負荷では90℃台になるケースがある
- 販売地域や店舗で価格・保証表示に差がある
筆者環境でも、冷却性能と取り付けやすさは良い傾向と一致しました。音の感じ方はPCとの距離、ケース、暗騒音で変わります。
12. メリット・デメリット
メリット
- 高さ133mmでケース互換性を確保しやすい
- 約76W負荷では虎徹2に近い冷却性能
- Ryzen 5 5600Xでスロットリングなし
- 専用ブラケットで取り付けが簡単
- 黒一色で配線もシンプル
デメリット
- 虎徹2よりファン回転数が高い
- Apexでは虎徹2より約3~4℃高い
- 100mm交換ファンの選択肢が少ない
- 100W超の連続負荷では余裕が減る
- TDP 200W表記だけでは実温度を判断できない
13. おすすめできる人・できない人
おすすめできる人
- 高さ150mm級が入らないケースを使う人
- Ryzen 5やCore i5クラスを定格運用する人
- ゲーム中心で70~80W前後の負荷を想定する人
- ARGB不要で黒いPC内部にまとめたい人
おすすめしにくい人
- 150W超のCPU負荷を長時間続ける人
- 低回転・低温を最優先する人
- 交換ファンを豊富な120mm規格から選びたい人
- ケースに大型デュアルタワーを入れられる人
14. 販売情報・保証|型番と販売元を確認
ARGB、デジタル表示、白色などの派生モデルと名称が近いため、購入時は型番と写真を確認してください。Ocypus公式規定ではGammaシリーズの空冷CPUクーラーは2年保証ですが、購入証明、販売経路、シリアル番号などの条件があります。
- 商品名がGamma A40 BKであること
- 対応ソケットとケースの対応CPUクーラー高
- 販売店の初期不良対応と保証窓口
- 並行輸入品の場合は国内サポートの有無
Ocypus Gamma A40の価格を比較する
価格と在庫は販売店ごとに変わります。検索結果にはARGB版やDigital版なども含まれるため、購入前にGamma A40 BKか確認してください。
※上記リンクはアフィリエイトリンクです。型番、販売元、保証条件をご確認ください。
15. FAQと総合評価
Ryzen 5 5600Xに使えますか?
使えます。Cinebench 10分で平均64.7℃、最大67.5℃、Apex Legends 30分で平均66.4℃、最大73.4℃。どちらもサーマルスロットリングはありませんでした。
虎徹2より冷えますか?
約76WのCinebenchでは平均温度とΔT/Wがほぼ同じでした。Apex Legendsでは虎徹2のほうが約3~4℃低温です。A40の強みは絶対的な冷却性能より、全高133mmです。
TDP 200WのCPUにも使えますか?
200Wを低温・静音で連続処理できる保証ではありません。実証データでは100W超から温度と回転数が厳しくなる傾向があり、高消費電力CPUには大型クーラーを推奨します。
ファンはうるさいですか?
最大2,261rpmを確認しましたが、筆者の聴感では使用中に気にならない程度でした。騒音計を使っていないため、dBAでの比較はしていません。
取り付けに必要な工具はありますか?
プラスドライバーが必要です。AM4では付属の専用ブラケットで簡単に取り付けられました。
総合評価|小型ケース向けの現実的な高コスパ空冷
Gamma A40 BKは、虎徹2より21mm低いボディで、Ryzen 5 5600XのCinebench負荷をほぼ同じ平均温度に抑えました。ゲーム時は虎徹2より約3~4℃高く、ファンも高回転ですが、最大73.4℃でスロットリングはありません。
大型クーラーが入るなら120mmファン搭載モデルの低回転性と交換性が魅力です。一方、ケースの高さ制限が厳しく、Ryzen 5・Core i5クラスを現実的な価格で冷やしたいなら、Gamma A40 BKは有力候補です。
本記事にはアフィリエイト広告を含みます。また、OcypusよりGamma A40 BKの製品提供を受けて作成しています。広告・製品提供の有無にかかわらず、筆者環境での実測結果、虎徹 Mark IIとの比較、注意点を含めて独立した基準で評価しています。



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